賃貸借の需要がある(借り手がいる)場合
その地域に借り手が見つかりそうな場合(需要がある場合)には、空き家物件を貸すことを選択肢に考えてみましょう。
空き家のまま放置すると、建物はどんどん劣化してしまいます。誰か人が居住することで、常に新鮮な空気が行き渡り、日常的な手入れもされます。
また、空き家を人に「貸す」ことによって、家賃(賃借料)の収入を得ることができます。空き家の問題が解決すると同時に、新しい収入源を得ることが可能になります。
① 入居者を見つける方法
a) 知人・友人の中から入居者を探す
自分の知り合いの中から入居者を探す場合は、親族に貸す場合と同様、親しい人であるからこそ、難しい面もあることを忘れないようにしましょう。
b) 不動産業者に入居者募集を依頼する
空き家を賃貸物件として活用する場合は、不動産業者に依頼して、入居者募集をする方法が一般的です。知人友人ではなく、第三者に入居してもらうメリットとしては(1)合理的で現実的な賃貸借契約を交わすことができる(2)知り合いに貸すより適切な賃料(=より高い賃料)を得やすい――などがあります。
② 空き家物件の賃貸契約を結ぶ
a) 契約は、プロの不動産業者に依頼する
賃貸契約は、プロの不動産業者に依頼しましょう。もちろん、入居者を自分で見つけ、インターネットで賃貸借契約書の雛形をダウンロードし、自分で契約することもできますが、不動産賃貸の実務と法律によほど詳しい場合を除いて、専門家である業者に依頼したほうがよいでしょう。
また、万が一、入居者との間に何らかのトラブルが発生した場合にも、第三者である不動産業者が間に入ったほうがスムーズに解決することができます。
b) 仲介手数料について
一般的に、契約の際には月額家賃の1カ月分を仲介手数料として不動産業者に支払います。この手数料は入居者が負担することが多くなっています。近年では、家主が自分で入居者を見つけ、不動産業者に対して仲介手数料以外にAD(広告料)を支払うケースも増えています。このADは1~2カ月が一般的ですが、その地域の慣習と客付けの難しさによって異なります。
③ 物件の管理
a)自主管理
近年の賃貸借は保証会社(※)を使うケースが多いため、不動産業者に依頼せず、家主が自分で物件管理することもできます。戸建賃貸の場合は、家主が行う「管理業務」は、概ね、家賃管理(家賃をきちんと徴収する)程度です。
(※)保証会社…入居者が家賃を滞納した場合に、入居者に代わってその家賃分を立替える会社。一般的には立て替えから入居者の滞納が続いた場合の退去交渉までを行う。保証会社を利用すれば、賃貸借経営においてもっとも厄介な滞納問題は、概ね解決することができる。
b)業者管理
「入居者との交渉が負担」「物件が遠方にあって管理が難しい」など、第三者に間に入ってもらいたい場合は、不動産業者に管理を依頼したほうが賢明です。
④ 貸す前に、これだけはチェックしよう!
a)今すぐ住める状態になっていますか?
空き家を貸す場合には、入居者がすぐ住める状態になっていることが必要です。
新しい入居者のために、畳の張り替えは必須です。汚れたカーペットの取り替え、破れた襖の張り替え、また、入居者を獲得するための最低限の設備が必要になる場合もあります。
また、「空き家」になっていた期間が長ければ長いほど、思わぬところに損耗があるものです。建物の劣化が進んでいた場合は、リフォームが必要になることもあります。必ずリフォーム費用を念頭において、資金計画を立てましょう。
b)家賃の設定
家賃の金額設定は、悩ましいところです。
その物件の周囲に、すでに賃貸アパートやマンション、貸家などがある地域であれば、同じ地域の貸家物件の賃料を参考にしましょう。インターネットで、「地域」「貸家の面積」「築年数」の同じ物件を検索して比較すると、その地域での妥当な賃料が分かります。
不動産業者に募集を依頼する場合は、家賃設定についても相談してみましょう。
賃貸借の需要が無い(借り手がいない)場合
空き家物件がある地域で、賃貸の需要がなく、借り手が見つかりそうにない場合は、「自分で住む」「売却する」「更地にする」、あるいは「空き家のまま管理する」という選択肢のいずれかを選ぶことになります。
ただし、周囲にアパート等が無く賃貸借の慣習があまり見られない場合でも、逆に物件が無いからこそ、借り手がつくケースもありますので、こればかりは実際に募集をしてみないと分かりません。この場合は競合物件がないため、予想外に高い賃料で入居者がついたり、また長期的に入居してくれることもあります。